「晴海フラッグ」購入者に戸惑いが広がる。
オリンピック終了後、選手村(中央区晴海5丁目)を改修して分譲されるマンション。
2019年7月から第1期の販売がスタート。
600戸に対し1,500組以上の申し込みがあり即日完売。
引き渡しは2023年3月からの予定だったが・・まさかこんなことが起きるとは誰も思っていなかった。
新型コロナウイルス。
オリンピックの延期により工期に変更が出るのは確実。
当初、3月下旬から第2期の販売を開始する予定だったが、6月以降への延期が決定。
今、不動産関連で一番気になるニュース。
ここにきて更に追い打ちが・・
この発言により、各媒体に晴海フラッグの「資産価値」の目減りや「購入者は地獄を見る恐れ!」と題した記事が並んだ。
購入を検討してた人は販売延期になったことで、動向を注視し検討し直せばいい。
問題はすでに第1期の販売で契約した人。不安でしょうがないですよね。
住宅棟の改修だけでなく、道路の整備も必要。小・中学校も2023年4月に開校予定だがこれも不透明。入居はできても学校は遠くに通わせる必要があるかもしれない。数年先の引き渡し時の実効金利が適用される住宅ローンも怖い。
そこで本日は、新築マンションの売買契約後に身の回りの状況が一変し「解約」せざるを得なくなってしまった場合、どうなるのか?について解説します。
この記事の目次
売買契約後、解約するにはどうすればいいのか?
選択肢は2つ。
引き渡し前なら契約解除
引き渡し後なら売却
売買契約書(契約書重要事項説明書)に記載される「契約の解除に関する事項」を確認します。どんな条件になっているのか?以下は一般例です。主に4つあります。
契約書をチェック
売主および買主は、その相手方が売買契約の履行に着手するまでは、互いに書面により通知し、買主は、売主に対し、手付金を放棄して、売主は、買主に対し、手付金等受領済みの金員を無利息にて返還し、かつ手付金と同額の金員を買主に支払うことにより、売買契約を解除することができます。
(2)引き渡し完了前の滅失・既存による解除
1.売主および買主は、対象不動産の引渡し完了前に天災地変、その他売主ないしは買主いずれの責にも帰すことのできない事由により、対象不動産が滅失または毀損して売買契約の履行が不可能となったとき、互いに書面によりその相手方に通知して、売買契約を解除することができます。ただし、対象不動産の修復が可能なとき、売主は、買主に対し、その責任と負担において対象不動産を修復して引渡します。
2.前項により売買契約が解除されたとき、売主は買主に対し、受領済みの金員を無利息にてすみやかに返還します。
(3)契約違反による解除
売主および買主は、その相手方が売買契約にかかる債務の履行を怠ったとき、その相手方に対し、書面により債務の履行を催告したうえで、売買契約を解除するとともに違約金の支払いを請求することができます。
(4)融資利用の特約による解除
1.買主は、売買代金の支払に関して、後記「Ⅱ.6.金銭の貸借のあっせん」欄記載の融資を利用する場合、同欄記載の融資承認取得期日までに、融資の全部または一部につき承認を得られないとき、買主は、売主に対し、上記契約解除期日までであれば、売買契約を解除することができます。
2.前項により売買契約が解除されたとき、売主は、買主に対し、受領済みの金員を無利息にてすみやかに返還します。なお、この場合、売主は買主に対し、損害賠償の請求等をなすことはできません。
※(2)と(4)については今回は説明を省略します。
手付解除とは?
手付金は、不動産売買契約に際して買主から売主に支払うお金のことです。売買代金の一部に充当されます。新築マンションの手付金の相場は物件価格の5%~10%
この手付金を放棄することで買主は契約を解除することができます。
重要手付解除ができるのは「相手方が売買契約の履行に着手するまで」です。
売主の履行の着手に該当するのは、「買主の希望する建物を建築するために部材を発注したときは建築工事に着手したとき」「買主の希望する間取に変更に伴う工事に着手したとき」等とされています。
履行の着手有と判断される場合は、手付金放棄による解除が認められません。
契約違反による解除となり、違約金を支払う必要が生じます。
※個人間売買の場合は手付解除期日を両者の間で設定します。
契約違反による解除の場合は?
こちらが契約書に記載される内容です。
2.違約金の支払い、清算は次のとおり行います。
(1)売主が違約した場合、売主は買主に対し、すみやかに受領済みの金員(手付金等)を無利息にて返還するとともに、違約金を支払います。
(2)買主が違約をした場合、違約金が支払い済みの金員を上回るときは、買主は、売主に対し、すみやかにその差額を支払い、支払い済みの金員が違約金を上回るときは、売主は、買主に対し、受領済みの金員から違約金相当額を控除して、すみやかに残額を無利息にて返還します。
違約金は売買代金の10%~20%に設定されるのが一般的です。
例えば物件価格が6,000万円の場合、10%の場合は600万円の違約金がかかってしまいます。
とても大きい損失ですよね。
違約解除するなら新築未入居として売却
手付解除ができない場合、引き渡しを受けて売却する方が損失が少ない可能性もあります。
この場合重要なことは未入居にすること。
建物建築後1年までであれば新築未入居として売りに出せます。
立地やマンションのグレード、お部屋(階数・間取り等)にもよりますが、完成後の方が高く売れる物件も都内では珍しくありません。
もちろん購入した価格よりも下がる可能性もあるので、慎重に検討する必要があるでしょう。
新型コロナウイルスの影響で工期大幅遅れの影響
メディアでは「晴海フラッグ」関連のニュースが目立ちますが、新型コロナウイルスの影響で「建材・住宅設備」の部品の生産が滞り、物件の引き渡しに影響が出ることが懸念されています。他人事だといってられません。
東京が「ロックダウン」となったら、工事もストップするでしょう。
では、すでに契約済みのケースで突如「引き渡し期日が半年遅れます。」と連絡が来た場合、補償はあるのでしょうか?
仮に半年遅れた場合、その間の家賃だったり子供の学校に合わせて購入していたとすると大変なことになりますよね。
契約書にはこう書かれています。
これにより、引渡時期が延期されても買主は売主に対して何ら異議、金員の減額を申し立てしないものとします。
ということは?新型コロナウイルスの影響で引渡時期が延長になっても買主は了承せざるを得ないのです。
今、新築マンションの販売スケジュールを事業主が続々と延期にしてます。
さすがに引渡予定が2~3年後のマンションを今買おうとする人は少ないでしょうからね。
新型コロナウイルス感染拡大が1日でも早く収束することを願います。