【不動産売却の全ステップを徹底解説】初心者のための完全ガイド!
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不動産売却を検討している方にとって、初めての売却は分からないことが多く、不安がつきものです。今回は、不動産売却の基本から実践的なアドバイスまでを網羅した完全ガイドをお届けします。

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動画でご覧になりたい方はこちらから視聴できます。

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えっ!?1時間50分もあるんですけど・・・

ごめんなさい(>人<;)

「この1本の動画を見れば基本情報はすべてわかる!」という意気込みで作った結果、こんなにも長くなってしまいました。

というわけで、テキストで読みたい方のために、動画の内容をブログにまとめました。目次を見て、気になる箇所から読み進めていただければと思います。

本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

はじめに
かつて「マイホーム」は、一生ものとされてきましたが、今日では人々の生活様式や働き方が多様化するにつれ、家もまた、ライフステージやライフスタイルの変化に応じて選び直されるものとなりました。実際に、居住用不動産の売買は、増加傾向にあります。
しかしながら、不動産の売買は依然として複雑で、多くの場合、業界外の人には分かりにくい手続きや、不透明な商習慣が存在します。高額な取引が多い不動産売買において、顧客の利益よりも自社の利益を優先し、適正価格よりも遥かに低い価格で取引され、その事実に気付かないまま損をしてしまうケースもあります。
不動産売却は多くの人にとって、一生に一度かもしれない大きな取引です。そこには不安も多く、何をどう進めれば良いのか分からないことも多いでしょう。その不安を払拭し、安心して取引を進めるためには、お客様自身においても基本知識を身につけることが何よりも重要です。不動産売却の過程で何をすべきか、いつ行動に移すべきかを知ることで、自分の大切な資産を守り、適切なタイミングで最良の決断を下すことが可能になります。

それでは、不動産売却の具体的なステップについて詳しく見ていきましょう。

こちらの流れで進めていきます。 

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この記事の目次

第一章「不動産売却の基本を知ろう」

第一章では、不動産売却に最低限必要な基本知識を紹介します。

この章での目標は、売却プロセス全体の概要を掴むこと、そして、あなたの売却理由がどのように最終的な決断に影響を及ぼすかを理解することです。

市場の状況を見極め、あなたにとって最適な売却のタイミングを決定するための土台を築きましょう。

①家を売るための3つの方法

不動産の売却方法は大きく分けると3つあります。

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1.仲介会社に依頼

 

特徴
不動産会社が売主と買主の間を仲介します。市場価格での売却を目指し、物件の広告掲載や見学会の実施など、幅広い販売活動をサポートします。
メリット
専門的なサポートを受けられるため、市場価格またはそれ以上での売却が期待できます。また、広範囲なマーケティングを通じて買い手を見つけやすいです。
デメリット
成功報酬として仲介手数料がかかります。売却までの時間が長引く可能性もあります。

2.不動産会社に買い取ってもらう

 

特徴
不動産会社が直接、売主から物件を買い取ります。短期間での買取が可能で、スピーディーな売却を実現できます。
メリット
短期間で売却でき、手続きが簡単です。売却の不確実性を避けられます。仲介手数料もかかりません。
デメリット
不動産会社が目指すのは、物件を市場価格よりも安く買い取り、その後高く売り直して利益を得ることにあるため、売主が最大限の利益を得ることは難しくなります。

3.個人間売買

 

特徴
売主と買主が直接取引を行い、仲介会社を介さずに売買が成立します。
メリット
仲介手数料が不要で、売主と買主が直接条件を決められるため、柔軟な取引が可能です。
デメリット
売主が自ら販売活動を行う必要があり、法的な手続きや契約書の作成に専門知識が求められます。加えて、この方法では買主が住宅ローンを希望する場合、銀行サイドが取引の詳細を把握しにくく、重要事項の説明書類が不足していることが多いため、融資の承認を得るのが難しくなります。

他にもリースバックやオークションを利用する方法もありますが、一般的な市場で売れる物件であれば、不動産会社を通じた売却が最も適した選択肢になると思います。

本記事では、不動産仲介による売却方法に焦点を当てて解説します。仲介による売却のメリットを最大限に活かしながら、成功へと導くためのヒントや注意点を提供することで、売主が安心して売却活動に臨めるようサポートします。

②不動産売却の基本的な流れ

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STEP1〜STEP10までの流れを見ていきましょう。

STEP1「情報収集と売却準備」

不動産ポータルサイトなどで自分の家の条件に近い物件の市場価格の調査、売却にかかる費用の把握、必要書類の準備、売却計画の策定を行います。

STEP2「不動産会社へ査定依頼」

複数の不動産会社に物件の査定を依頼し、市場価値を把握します。

STEP3「売却方法の提案受け取り」

不動産会社からあなたの家の特長を詳しく分析した上で、最適な売り出し価格、売り出しのタイミング、そしてどのように売り出すかについてのアドバイスをもらいます。

STEP4「媒介契約の締結」

提案された売却方法の中から、自分の売却計画に最も合致する方法を選び、不動産会社と売却を依頼する媒介契約を結びます。

STEP5「売却活動の開始・内見対応」

不動産会社が物件の広告掲載や見学会の実施など、売却活動を開始します。

STEP6「売却活動の経過報告」

不動産会社から定期的に売却活動の進捗報告(案内数・問い合わせ数等)を受けます。

STEP7「購入申込みの受付」

興味を示してくれた買主から申し込みがあった際に、価格やその他の売却条件について交渉します。

STEP8「売買契約の締結と手付金の受領」

買主との間で条件に合意したら、正式な売買契約を交わし、契約の証として手付金を受け取ります。

STEP9「売買代金残金の受領・物件の引渡し」

買主から売買代金の残金を受け取り、物件の引き渡し(鍵等)を行います。

STEP10「確定申告」「税金と経費」

不動産を売却して利益が出た場合は、その利益に対して税金が課されるため、確定申告を行う必要があります。ただし、売却で利益が出なかったり、税法で認められた特例を利用しない場合、または損失が出た場合には、基本的に確定申告の必要はありません。

以上が不動産売却の大まかな流れとなります。

売却活動を開始してから買主に物件を引き渡すまでに必要な期間は、売りたい家の需要や設定された売出価格に大きく依存します。一般的には、最低でも6ヶ月から1年程度の期間を見込むのが妥当です。

そのため、目標とする物件の引き渡し時期を基に、準備(情報収集)は早めに始めることをお勧めします。

③売却にかかる主な諸費用

不動産を売却する際には、様々な費用や税金がかかります。どのような費用や税金が発生するのかを把握しましょう。

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1.仲介手数料

不動産の売却で一番高い費用が仲介手数料です。売主、買主間で売買契約が成立し、成功報酬として支払う不動産会社への手数料のことです。

仲介手数料は売却価格に応じて次のように計算(速算式)されます。

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例えば7,000万円の場合の仲介手数料は237.6万円です。

この計算式による仲介手数料が不動産会社が受け取れる「仲介料の上限額」になります。上限額を超える仲介手数料を請求・受け取った場合は、法令に違反します。

仲介手数料を支払うタイミングは2つあり、一つ目は、売買契約時と物件の引き渡し時の2回に分けてそれぞれ半額ずつ支払う方法。もう一つは、物件の引渡し時に手数料全額を一括で支払う方法です。どちらの支払い方式を選ぶかは、利用する不動産会社の方針によります。

2.印紙税

買主との間で取り交わす不動産売買契約書には、印紙を貼付する必要があります。契約書は二部作成で、売主・買主それぞれ負担するのが一般的です。

この印紙税の額は、契約書の種類と売買代金に応じて異なります。詳しくはこちらをご覧ください。

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現在、租税特別措置法によって、不動産譲渡契約書の印紙税には軽減措置が適用されており、税率が引き下げられています。この軽減は、記載金額が10万円を超える契約書で、平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成される契約書が対象です。たとえば、売却価格が7,000万円の場合、必要な印紙税は3万円になります。

また、最近では紙の契約書に代わり、電子契約の利用が増えています。電子契約の場合は印紙税が不要となるため、費用節約につながります。これは、売主と買主双方にメリットがあるため、私が働く会社でも電子契約を導入しています。

3.登録免許税(固定資産税・都市計画税)

不動産を売却する際、住宅ローンを利用してる場合は抵当権抹消登記、すでに新居に引越し済みの方は住所変更登記などの必要な手続きが伴います。これらの手続きを行うためには登録免許税が必要で、不動産一件につき1,000円が課税されます。

登記手続きを行うためには専門的な知識が必要であるため、司法書士に依頼するのが一般的です。手続きの複雑さにもよりますが、一件あたり数万円の費用(報酬)がかかります。登録免許税と司法書士への報酬は、登記の申請を行う際に支払います。

固定資産税や都市計画税は、売却年の全額ではなく、引き渡し日に応じて日割りで算出し、売主と買主の間で清算するのが一般的です。

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4.その他費用

不動産の売却手続きを進める際には、次の費用も計画に含めておくことが重要です。4つ例を挙げます。

引っ越し費用
新居への移動にかかる費用。料金は距離や荷物の量・引越時期によって異なります。

住宅ローン一括返済手数料
住宅ローンの残債を一括で返済する際にかかる手数料。金融機関によって条件が異なりますので事前確認が必要です。

測量費用
土地を売却する際に必要な境界測量の費用。専門の測量士に依頼するための費用が必要です。

クリーニング費用
物件を魅力的に見せるためのクリーニングサービスの費用。

以上が不動産売却時にかかる主な諸費用でした。

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④売却時に必要な書類

不動産を売却する際には、必要な書類がいくつかあります。これらの書類の多くは、購入時に不動産会社から提供された契約書類の中に含まれています。

しかし、売却をスムーズに進めるためには、事前にどのような書類が必要かを確認して準備をしておくことが重要です。

こちらの表をご覧ください。

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売却時に必要な書類
PDF版のダウンロードをご希望の方はこちらからお願いします。

不動産売却のステップに応じて必要な書類をまとめました。⚪︎は必須な書類で△は任意または該当する場合のみ必要になります。

重要
最も重要な書類が登記識別情報通知(登記済権利証)です。2005年3月から、不動産の登記済権利証が「登記識別情報通知」として更新されるようになりました。この変更は2004年の不動産登記法の改正によるものです。

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登記識別情報は抵当権の設定や抹消登記・所有権移転登記をする際などに利用します。とても重要な書類なので、誰にも見られないようにするため以前はシールが貼られてましたが、現在は袋とじのような状態になりました。

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もし紛失した場合は?

登記識別情報通知の再発行はできません。そのため、紛失した場合には他の方法で本人確認を行う必要があります。「事前通知制度」や「資格者代理人による本人確認情報の提供の制度」を利用することが一般的です。

万が一紛失してしまった場合は、相談する不動産会社に事情を説明し、適切な対応を取りましょう。

住宅ローン利用中の方

売却時に残債がある場合は返済予定表・借入先金融機関の通帳と届出印が手元にあるか確認しましょう。売却計画を立てる上で、現時点の残債を確認することは大切ですし、通帳や届出印は完済手続き時に必要になります。

不動産会社の担当者がこれらのステップごとに必要な書類を案内し、サポートします。書類が不足している場合は、不動産会社が書類の取得や必要な調査を行います。

事前にこれらの書類を確認し、整理しておくことで、売却計画をスムーズに進めることができます。

⑤相場を知る

不動産の売却で、一番気になるのは自分の家が「いくらで売れるのか?」ですよね。しかし、中古市場では定価が存在せず、各物件の特徴やエリア・個別要因によって需要の動向や平均的な売却期間も異なります。

また、最終的な売却価格は買主との交渉によって決定されるため事前に正確な価格を知ることはできません。とは言え、不動産市場には「相場」があります。

もし価格設定が近隣の物件に比べて高すぎると、買い手は見向きもしません。逆に、相場よりも安すぎる価格で売却してしまうと損をしてしまいます。

損を避けるためにも、不動産会社に査定依頼をする前におおよその相場感を身につけておきましょう。

自分で相場を知らべる方法は主に5つあります。

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売却検討の初期段階ではポータルサイトを活用して自分の家と似た条件の物件がどの程度の価格で売りに出ているのか?確認する程度で問題ありません。

その際に賃貸で貸した場合の家賃相場も合わせて確認することをお勧めします。

一点注意が必要なのは、不動産ポータルサイトや不動産会社のHPに掲載されている価格は売出価格であり、実際の成約価格とは異なります。そのため参考程度に留めておくことが重要です。

マンションの場合は、同じ建物内や近隣の売出事例が見つかりやすいと思います。最近ではAIを活用したサービスで、マンション名と部屋番号のみでおおよその査定価格が確認できるサイトもあるので試してみるといいでしょう。

一方で、土地や戸建ての価格は、同じエリアでも立地条件や道路状況、地形など個別の要因により価値が大きく異なります。

そのため、不動産流通機構の「レインズ・マーケット・インフォメーション」や国土交通省の「不動産情報ライブラリ」がおすすめです。これらのサイトでは成約価格を基にした情報が提供されているため、自宅近辺の坪単価がどの程度で取引されているかを確認するのに役立ちます。

近隣の物件の価格動向を調べた上で、次のステップ「不動産会社に査定依頼」に進みましょう。

⑥よくある質問「基本編」

ここまで、不動産売却のプロセス、必要な書類、諸費用などの基本情報について解説しました。この章の締めくくりとして、売却に際してよくある質問を5つ紹介して終わりにします。

Q1.家が売れるまでの平均期間は?

一般的な結果はライフルホームズの「不動産売却に関する調査結果」が参考になると思います。詳しくはこちらをご覧ください。

こちらのデータは、私が勤める文京区の不動産会社が収集した2023年に文京区で成約した中古マンションの取引事例を築年数別にまとめたものです。

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築年数が新しいほど平均坪単価は高くなりますが、成約までの期間は築年数と直接的な関係はありません。物件の個別の特性や需要のあるエリアかどうか?売出価格の設定が売却期間に大きく影響します。新しい物件ほど、売主は高値で売り出す傾向があります。

一般的にはマンションの方が売れやすく、平均して3カ月程度で売却が完了しますが、一戸建てや土地は6カ月はかかることが多いです。

売却を検討する際は、類似物件の成約期間を参考にスケジュールを計画すると良いでしょう。

Q2.家を売るベストなタイミングはいつですか?

家を売る最適なタイミングは、市場の動向、自身の経済状況、そして生活上の変化によって左右されます。一般的には、不動産市場が活況で、買い手が多くなる時期が望ましいです。

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こちらは東日本不動産流通機構が毎月公表している2014年から2023年までの首都圏の不動産成約状況を月別にまとめたものです。

この10年間で成約件数が最も多かったのは3月でした。

これは税務上の理由や新生活が始まる4月に向けて準備する人が多いため、不動産の購入や売却がこの時期に集中します。

一方、成約件数が最も少ない時期は、中古マンションや中古戸建では8月であり、これは夏休み期間と重なり、多くの人や不動産会社が休暇を取るためです。また、暑い時期は物件の内覧数が減少し、市場活動が一時的に落ち着くことも影響します。

土地取引では、1月が最も少ない成約件数となっています。これは、中古マンションや中古戸建と比べて不動産業者が売主である物件の割合が多くなるからです。年始直後の忙しい時期に新たな投資や大規模な取引を避ける傾向があります。

これらを踏まえると、売出時期としては不動産取引が落ち着く年末年始、GW、お盆の時期は避けた方がよいでしょう。また、引き渡し時期は12月末や3月末までには引き渡しができるよう売却の準備を進めることが望ましいと言えます。

Q3.不動産を売却するか、賃貸に出すか、どちらがいいですか?

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売却か賃貸の選択は、個人の状況や市場の動向によって異なります。不動産価格が上昇している場合、売却によって得られる大きな一時的利益を他の投資や新しい住まいの購入に活用できる点が売却のメリットです。

ただし、売却するタイミングによっては、市場価格が低迷している場合に損をするリスクもあります。特に、築年数が経過するにつれて物件の価値が減少し、現在の査定価格よりも売却金額が下がる可能性も考慮する必要があります。

一方、賃貸には安定した収入源となる可能性がありますが、空室リスクや管理責任、メンテナンスコストも考慮する必要があります。特に不動産価値の上昇が見込める地域では、賃貸で収益を得ながら価値上昇を待つことも有効な戦略です。

個人的な意見としては、将来的に再び今の家(地域)に戻る予定がなく、現在の市場で希望価格で売れる場合は売却をお勧めします。しかし、将来的に再び今の家(地域)に戻る予定がある場合や、インフレ傾向(不動産価格も上昇)が続くと予測するなら賃貸に出して物件を保持し続ける選択も考慮したいです。

最終的には、ご自身の財政状況、物件の価値、将来計画を総合的に評価し、専門家と相談しながら最も合理的な選択をすることをお勧めします。

Q4.住宅ローンの残債があっても売却できるか?

住宅ローンの残債がある状態でも不動産を売却することは可能です。売却時に得られる資金を使ってローン残高を完済するのが一般的ですが、売却価格がローン残高を下回る場合は、他の資金を使って差額を補う必要があります。

もし売却金額でローンが完全に返済できない場合は、買い替えローンを利用する方法や、税制の優遇措置を利用して売却損を税金から控除するなどの選択肢があります。詳しくは不動産会社や金融機関の専門家に相談することをお勧めします。

Q5.仲介手数料の値下げ交渉はできるか?

仲介手数料の値下げ交渉は可能です。仲介手数料は各不動産会社が設定するものであり、市場の状況や物件の価値に応じて、手数料を下げることができる場合があります。

一部の不動産会社では手数料値下げを積極的に宣伝しているため、そうした会社を選ぶことも一つの手です。ただし、手数料を下げることがサービスの質の低下に直結しないよう、どのようなサービスが提供されるかを明確にすることが重要です。

 

これにて第一章「不動産売却の基本を知ろう」は終了します。

第二章「不動産会社に相談・査定依頼」

この章では、不動産会社に相談し、実際に査定を依頼するプロセスについて詳しく解説していきます。

①不動産会社がアドバイスをするために必要な情報

安全な不動産取引を行うためには、専門的な知識を持つ不動産会社の支援が欠かせません。まずは不動産会社に必要な情報を提供し、有益なアドバイスを求めましょう。

最低限必要な情報は次の4つです。

 

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これらの情報を事前に整理し、不動産会社に提供することで、より具体的なアドバイスを受けることが可能になります。

不動産会社には厳格な守秘義務が課されているため、提供した情報が無断で外部に漏れる心配はありません。相談段階では、一部非公開にしたい情報があるかもしれませんが、問題ない範囲でできるだけ多くの情報を提供しましょう。

多くの人が最初に知りたいのは、物件の売却見込み価格や市況の見通しだと思います。

特に、取引の活発な地域に位置する物件の場合は、流動性が高いため、基本的な情報を伝えるだけで有益なアドバイスを受けることが可能です。一方で、取引が少なく流動性が低い地域の物件の場合は、現地調査を行い、詳細な分析が必要になるため時間がかかる可能性があります。

②不動産会社(担当者)の選び方

不動産を売却する際には、信頼できる不動産会社(担当者)を選ぶことが成功の鍵です。このセクションでは、最適な不動産会社を選択する際のチェックポイントを紹介します。

不動産会社を選ぶ方法は、あなたの優先順位によって異なります。例えば、一部の人は不動産会社の提供するサービスの質を重視して会社を選びますが、他の人は大手のブランドを信頼したり、地元に精通している地域の業者、過去の取引での担当者、またはSNSなどで評判を調べて選ぶ人もいます。

また、一般媒介契約を利用して複数の業者に依頼する選択肢もあります。

不動産会社には、それぞれ得意とする専門分野(例えば、売買、賃貸、管理、商業施設、オフィスビル、投資用物件など)があります。

会社を選ぶ際には、それぞれの会社がどの分野や地域に強いかを理解することが重要です。ホームページや広告戦略を見ることで、どの会社が自分のニーズに最も適しているか判断材料になります。

次のチェックポイントを参考に不動産会社(担当者)を慎重に選んでください。

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気になる会社が見つかったら営業年数と行政処分歴は必ず確認しておきましょう。

⚫︎国土交通省|建設業者・宅建業者等企業情報検索システム
⚫︎国土交通省|ネガティブ情報等検索サイト

以上のチェックポイントを参考にして、自分のニーズに合った不動産会社(担当者)を選んでください。

③不動産会社に査定を依頼する

不動産の査定には「簡易査定(机上査定)」「訪問査定」の2種類あります。

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簡易査定は、物件の基本データのみを使用して行われる見積もりで、現地を訪れることなく迅速に査定額を提供するため、初期の段階でおおよその売却価格を知りたい場合に便利です。

一方、訪問査定では、不動産会社の担当者が直接物件を訪れ、物件の状態や特徴を詳細に確認した上でより正確な価格を算出します。物件の実際の状況を反映させたい場合や、売却に向けて本格的に動き出す際には訪問査定を選択すると良いでしょう。

価格査定は、通常不動産会社が提供するサービスの一部なので、無料で行われます。

次に、査定の依頼から売出価格を決めるまでの一連の流れを確認しましょう。

STEP1 住宅ローンの残高確認

売却予定の物件に住宅ローンが残っている場合は、まずはその残債を正確に調べます。この情報は売却プロセス全体において重要であり、どのように財務計画を立てるかにも直接影響します。

STEP2 最低売却価格の設定

ローンの残債や諸費用、次の物件購入に必要な頭金等を考慮し、必要な費用をすべてカバーする最低売却価格を設定します。この価格をあらかじめ決めておくことで、購入検討者からの価格交渉にも迅速かつ適切に対応することができます。

STEP3 不動産会社へ査定依頼

気になる会社に物件の査定を依頼して、市場価値を把握します。
査定価格は、詳細な市場分析を基に設定され、通常3ヶ月以内に売却可能な価格帯を示すものです。

STEP4 査定結果の受け取り

不動産会社から査定結果の詳細な説明を受けます。この段階で、査定価格がどう決まったか、市場データや類似物件との比較に基づいた情報が提供されます。これらの情報は、適切な売出価格を設定するのに重要であり、売却戦略を練るうえでの重要な手がかりになります。

STEP5 売出価格の決定

査定結果と自身の財務状況を踏まえて、最終的な売出価格を決定します。この価格設定は、市場の状況に合わせつつ、あなたのニーズを満たす形で行ってください。このステップが重要で、価格設定によって物件の売れ行きが大きく変わるため、慎重に行いましょう。

これらのステップを踏むことで、より効果的でスムーズな不動産売却が可能となります。

④よくある質問「査定編」

この章の締めくくりとして、不動産売却の査定でよくある質問を4つ紹介して終わりにします。

Q1.査定額=売れる価格ではない

不動産の査定価格は、その物件が市場で売れると想定される価格を示すものであり、必ずしもその金額で売れるわけではありません。これは車の買取とは異なり、不動産の場合、査定額は市場の動向、物件の状態、地域の需給状況など多くの要因に基づいて算出されます。

不動産査定には一般的に次の三種類の価格が提示されることがあります。

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査定価格だけを基準に不動産会社を選ぶのは避けるべきです。一部の業者は媒介契約を得るために現実離れした高額査定を提示することがあります。

最終的な売出価格の決定はあなたが行うため、査定の根拠、提供されるサービスの質、対応の良さなどを総合的に評価し、複数の不動産会社からの査定を受け、比較検討することが大切です。

Q2.同時に複数の不動産会社に査定を依頼しても問題ないか?

複数の不動産会社に同時に査定を依頼するのは全く問題ありません。
各社の対応、提案される査定価格、戦略を比較し、どの不動産会社に依頼するかを決定するための重要な情報を得られます。また、サービスの比較をするのにも役立ちます。

Q3.訪問査定では何をするの?

現地調査時に調べる主なポイントは次の通りです。

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物件によって重点的に調べる内容は変わりますが、これらの内容は把握しておきましょう。

また、購入者に不利益となる可能性のある事項(損傷や故障など)がある場合は、必ずその情報を開示してください。

Q4.一括査定サイトのメリット・デメリットは?

メリット
1.時間の節約 - 複数の不動産会社に個別に査定を依頼する手間が省け、一度の申し込みで複数の査定結果を受け取ることができます。
2.比較の容易さ - 複数の査定結果を一覧で比較できるため、最も有利な条件を提供する不動産会社を簡単に見つけることができます。
3.市場価格の把握 - 複数の業者からの査定を通じて、現在の不動産市場価格の概算を把握できます。
デメリット
1.プライバシーの問題 - 個人情報が複数の不動産会社に共有されるため、プライバシーに関する懸念があります。
2.過度な営業連絡 - 査定を依頼した不動産会社からの積極的なフォローアップや営業連絡が多くなる可能性があります。
3.品質のばらつき - 参加している不動産会社によって査定品質やサービスの水準に差があるため、すべての査定が等しく信頼できるわけではありません。

一括査定サイトを利用する際は、これらのメリットとデメリットを理解した上で、個人の状況に合わせた選択をすることが大切です。プライバシー保護や過度な営業対策として、信頼できるサービスを選ぶことが推奨されます。

 

これにて第二章「不動産会社に相談・査定依頼」は終了します。

第三章「売却戦略の提案受け取り」

不動産会社に査定を依頼し、あなたの物件の価値がどの程度かわかったら、次のステップは不動産会社から売却戦略の提案を受けることです。

購入者の視点に立ち、物件の魅力を最大限に引き出し、柔軟な体制で販売活動を行うことが、不動産売却の成功への道です。信頼できる不動産会社と協力し、適切な戦略を立てることで、最良の結果を得ることができます。

この章では、不動産売却の戦略について解説します。

①購入者のニーズを理解する

購入者のニーズを把握することで、物件の魅力を最大限にアピールでき、売却のチャンスを高めることができます。

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ターゲット層を特定するために、不動産会社に過去の類似物件の成約事例をヒアリングしましょう。同じエリアや類似条件の物件がいくらで売れたのか?実際に購入した人の属性はどうだったのか確認します。

その情報を基に、広告戦略や物件情報のアピールポイントを決めることが重要です。次のポイントを考慮してください。

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②物件の魅力を最大限に引き出す

売却するためには、まず購入検討者からの反響を得る必要があります。次の3つのポイントをおさえて、購入希望者の関心を引きつけ、売却の準備を整えましょう。

1.物件の外観と内装の整備

購入希望者は、新生活への期待を抱いて物件の外観と内装に最初に目を向けます。しかし、第一印象が悪いと、その期待は一気にしぼんでしまいます。第一印象を良くするための努力は、購入希望者のテンションを維持し、購入意欲を高めるために非常に重要です。

☑️清掃と整理整頓
購入者の視点で物件全体を確認し、不要なものは片付けます。特に内覧時に目に見える場所を中心に行いましょう。

☑️外観のメンテナンス
庭や玄関周りを手入れし、塗装の剥がれや劣化部分など、最低限自分で修繕できる箇所があれば直しておきましょう。外観が整っていると、購入者に良い印象を与えます。

☑️内装の改善
特にキッチンやバスルームなどの水回りは重点的に整備します。壊れている箇所があっても現況のまま売却は可能ですが、最低でもクリーニングは行いましょう。修理が必要な場合は、見積もりを用意しておくと安心です。

2.高品質な写真の活用

現在、オンラインでの物件閲覧が一般的になっているため、写真や映像の質は非常に重要です。写真の印象が悪いために反響が得られない事態は避けたいものです。

ポータルサイトで物件情報を見ると、各社の写真の品質にはばらつきがあります。最低でも物件の撮影に慣れているスタッフやプロのカメラマンに依頼して、物件の良さを最大限に引き出す写真を撮影してもらいましょう。高品質な写真は購入希望者の関心を引き、物件の魅力をより効果的に伝えることができます。

また、物件の魅力をリアルに伝えるために、ビデオツアーを作成するのも有効です。ビデオツアーにより、購入希望者は実際に内覧する前に物件の雰囲気を掴むことができます。

居住中で部屋の中の写真が使えない場合は、CGで家具などを消せるサービスやバーチャルでホームステージングを活用する方法もあります。これにより、WEB上で新生活をイメージさせることができます。

こういった魅せる技術やサービスを提供している不動産会社に任せることで、反響を増やすことができるでしょう。

3.購入者の視点で物件を見直す

あなたの売りたい不動産はどの部分が魅力的で、どこに改善が必要かを考えます。物件の価値を高めるためには、リフォームやリノベーションの提案が効果的です。

例を挙げます。

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これはほんの一例ですが、購入者が知りたい情報を事前に準備しておくことが重要です。「販売力」のある不動産会社は常に購入者のニーズに耳を傾け、あなたの不動産の価値を最大限に引き出してくれます。

最適な売却方法を提示してくれる不動産会社に売却を依頼しましょう。

③柔軟な販売活動

物件を効果的に売却するためには、柔軟な販売活動が重要です。購入希望者のニーズや市場の動向に合わせて、さまざまな手法を組み合わせて対応することが成功への鍵です。

売却の理由や売却にかけられる時間によって、最適な販売戦略が変わります。

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高値で売り出す際に最も注意しなければならないのは、売れ残りの印象を与えてしまうことです。

例えば、私が市場価格よりも高値で売りに出す場合はこんな方法をとります。

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レインズに登録すると広く情報が公開され、買主が見つかりやすくなるのは確かですが、高値で売りたい場合は情報を徐々に公開していく方が、マーケティング戦略として有効だと思っています。

そのため初期段階ではレインズに登録が必要ない一般媒介契約を不動産会社と結びます。

 

売却希望時期が近づいたら、段階的に値下げするのが最も効果的です。また、売れ行きが悪ければ、複数の業者に依頼する方法に切り替えることも考慮しましょう。

不動産会社から売却方法の提案を受け取り、自分の状況に合った最適な方法を選択することが、不動産売却の成功に直結します。提案内容をしっかりと検討し、質問があれば不動産会社に積極的に問い合わせましょう。

これにて第三章「売却戦略の提案受け取り」は終了します。

第四章「媒介契約の締結」

媒介契約とは、不動産会社に売却を依頼する際に結ぶ契約で、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類あります。

それぞれの契約には特徴やメリット・デメリットがあります。ここでは、これらの契約の違いをわかりやすく解説し、あなたに最適な契約を選ぶためのポイントを紹介します。

①レインズとは何か?

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レインズを利用できるのは原則として「不動産流通機構」に会員登録した不動産業者に限られ、一般の方の利用はできないことになっています。

このシステムを利用することで、全国の不動産業者が売却物件の情報を迅速かつ広範囲に共有することが可能となり、購入希望者に効率的に情報を提供することができます。

レインズの主な特徴と利点は次の通りです。

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レインズに物件情報を登録することで、多くの不動産業者と購入希望者に情報が届き、売却活動の効率が高まります。

②媒介契約の種類と違いについて

基本的な違いについて表にまとめたのでこちらをご覧ください。

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③各媒介契約のメリット・デメリット

一般媒介契約

メリット
1.自由な依頼
複数の不動産会社に同時に依頼できるため、広範囲に物件の情報を拡散できる。
2.直接取引可能
売主が直接買主を見つけた場合、仲介手数料が不要になる。
3.競争原理
複数の不動産会社が競争することで、早期売却や好条件での売却が期待できる。
デメリット
1.専任感の欠如
不動産会社が専任ではないため、売却活動に力を入れてもらえない可能性がある。
2.情報管理が大変
複数の不動産会社とやり取りするため、情報管理や連絡が煩雑になる。
3.一貫性の欠如
各社の販売戦略や掲載情報のアピールポイントが異なる場合、統一感のない売却活動になりがち。また、販売活動の進捗報告が義務付けられていないため、情報の透明性が低い。
一般媒介契約が向いている人は?
・幅広く情報を拡散したい人
・不動産会社に特定のこだわりがない人
・自分で複数の不動産会社とのやり取りを行う手間を厭わない人
・自分でも積極的に売却活動をしたい人

一般媒介契約は、広く情報を拡散したい場合や、複数の不動産会社の競争を利用したい場合に適しています。

しかし、不動産会社の積極的なサポートを期待しにくい点を理解しておくことが重要です。

複数の不動産会社と連携し、広範囲に物件情報を発信したい方には向いていますが、情報管理の煩雑さや統一感の欠如に注意が必要です。

専任媒介契約

メリット
1.不動産会社の積極的なサポート
専任契約のため、不動産会社が積極的に売却活動を行いやすい。
2.統一された販売戦略
不動産会社1社に依頼するため、統一された戦略が可能。
3.レインズへの登録
物件情報がレインズに登録されるため、広範囲にわたって物件情報が拡散され、買主が見つかりやすくなる。
4.定期的な報告
不動産会社から2週間に1回以上の販売活動報告を受けることができ、売却状況を把握しやすい。
5.自分で買主を見つけることも可能
売主が直接買主を見つけた場合、仲介手数料が不要になる。
デメリット
1.依頼先の限定
一つの不動産会社にしか依頼できないため、選んだ不動産会社が信頼できない場合、売却活動が効果的に行われないリスクがある。また、情報拡散力は一般媒介に劣る。
2.競争の欠如
複数の不動産会社に依頼できないため、競争原理が働かず、早期売却や好条件での売却が期待しにくい場合がある。
3.依頼先の変更が難しい
依頼する不動産会社を変更するのが難しく、選定ミスのリスクがある。
専任媒介契約が向いている人は?
・特定の不動産会社に信頼を置いている人
・販売活動の進捗状況を定期的に把握したい人
・複数の不動産会社とやり取りする手間を避けたい人
・ある程度のサポートを受けつつも、柔軟性を求める人
・自分でも買主を見つける可能性を残しておきたい人

専任媒介契約は、不動産会社の積極的なサポートを受けたい場合や、統一された販売戦略を望む場合に適しています。特に、信頼できる不動産会社を選んだ場合、売却活動が効果的に進む可能性が高いです。

ただし、依頼先の選定には慎重さが求められます。販売活動の進捗状況を定期的に把握したい方や、複数の不動産会社とのやり取りを避けたい方に向いています。

専属専任媒介契約

専任媒介契約と似ている点が多く、一部重複する内容もありますが、より頻繁な報告義務が特徴です。

メリット
1.不動産会社の強力なサポート
最も専念された契約形態のため、不動産会社は最大限の努力をして売却活動を行います。
2.迅速な情報拡散
レインズへの登録が5日以内に義務付けられており、物件情報が迅速に広範囲に拡散されます。
3.定期的な報告
不動産会社から1週間に1回以上の販売活動報告を受けることができ、売却状況を細かく把握できます。
デメリット
1.依頼先の限定
一つの不動産会社にしか依頼できないため、選んだ不動産会社が信頼できない場合、売却活動が効果的に行われないリスクがあります。
2.競争の欠如
複数の不動産会社に依頼できないため、競争原理が働かず、早期売却や好条件での売却が期待しにくい場合があります。
3.自己発見の取引不可
売主自身が直接買主を見つけて取引することができないため、仲介手数料が必ず発生し、売主が取引の自由度を失います。
専属専任媒介契約が向いている人は?
・特定の不動産会社に強い信頼を置いている人
・販売活動の進捗状況を頻繁に把握したい人
・自分で買い手を見つける可能性が低いと考える人
・最大限のサポートと積極的な売却活動を希望する人

専属専任媒介契約は、不動産会社に全幅の信頼を置き、最も積極的な売却活動を希望する場合に適しています。特に、販売活動の進捗状況を頻繁に把握したい方や、自分で買い手を見つける可能性が低いと考える人に向いています。

依頼先の選定が非常に重要であることを理解し、信頼できる不動産会社を選ぶことが成功の鍵です。

自分の状況や希望に合った媒介契約を選んでください。各契約にはそれぞれの特徴やメリット・デメリットがあり、どの契約が最も適しているかはあなたのニーズや売却条件によって異なります。

④契約前に仲介会社に確認すべき事項

不動産の売却を成功させるためには、信頼できる仲介会社を選ぶことが重要です。契約前に次のポイントを確認し、不動産会社がどのように売却活動を行うのか、またどの程度のサポートを提供してくれるのかを把握しましょう。

1.売出価格のアドバイス
不動産会社が価格に関して意見を述べるときは、「合理的な根拠」を示して説明しなければなりません。最近売却した類似物件の事例や取引動向について詳しく聞き不動産会社の信頼性を判断します。
2.売却戦略とマーケティングプラン
物件の売却戦略や広告や宣伝はどのように行うのか確認しましょう。
3.囲い込みについて
囲い込みとは、他の不動産会社からの問い合わせや購入希望者を制限する行為です。これは売主にとって不利益となる可能性があるため、囲い込みを行わないことを事前に確認しておくことが重要です。
4.両手取引について
両手取引とは、不動産会社が売主と買主の両方から手数料を受け取る取引形態のことです。両手取引にこだわり、他の不動産会社からの紹介を断るような会社は避けたほうが良いでしょう。こうした会社は売主の利益を最優先に考えず、結果的に売却のチャンスを逃してしまうことがあります。
5.手数料と費用
売却にかかる仲介手数料や支払い時期、付帯サービスの利用時に追加費用が発生するかを明確に確認します。隠れたコストがないか確認し、費用対効果を考えて判断しましょう。
6.サポート体制と進捗報告
売却活動中のサポート体制やコミュニケーションの取り方について確認します。定期的な進捗報告や、迅速な対応が期待できるかどうかを確認することで、安心して任せることができます。
7.契約の解除について
途中で契約を解除したい場合、広告費用などの経費負担が生じるかどうかを確認しましょう。媒介契約書の契約約款を必ず読み、理解しておくことが重要です。また、依頼者に不利な特約は無効となります。
8.法律や税務のサポート
売却に伴う法律や税務の問題について、適切なサポートが受けられるかを確認します。特に、初めての売却であれば、法律や税務に詳しい担当者(弁護士・税理士)のサポートが必要です。

 

信頼できる仲介会社を選ぶためには、以上のポイントをしっかり確認し、納得のいく回答を得ることが重要です。

不動産会社とのコミュニケーションを大切にし、売却活動をスムーズに進めるためのパートナーシップを築きましょう。

これにて第四章「媒介契約の締結」は終了します。

第五章「売却活動の開始」

売出価格を決め、不動産会社と媒介契約を結んだら、いよいよ売却活動の開始です。反響や内見希望者が現れるのか?期待と不安が入り混じることでしょう。

この章では、売却活動の各ステップでどのような準備が必要か、どのように対応すべきかを理解し、安心して売却プロセスを進められるようサポートします。

①物件状況等報告書の作成

販売を開始するにあたり、まずは物件状況等報告書の作成が必要です。この書類は、売主が物件の状態について詳細に記載するものです。これにより、買主が物件の状態を正確に理解し、安心して購入を検討できるようになります。

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参考:国土交通省|物件状況等報告書記入上の注意点
記入方法で不明な点があれば、不動産会社の担当者に確認しましょう。

作成の目的
この報告書を作成する目的は、買主に対して透明性を確保することです。物件の状態を正確に伝えることで、購入後のトラブルを未然に防ぐことができます。また、詳細な情報を提供することで、信頼性が高まり、購入意欲を引き出すことができます。不動産売買契約では、売買物件の状況等が売買契約時にどのような状態であるか、どのような状態で買主に引き渡すかを明確にしておく必要があります。

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中古物件の場合、経年変化による損耗が一般的です。売主はその状態を買主に説明し、了承を得て取引するのが通常の取引です。

しかし、売主が知っていたにもかかわらず、買主に知らせなかった瑕疵については、損害賠償義務が発生し、トラブルになる可能性があります。

一方、買主が契約締結時に瑕疵の存在を知っていた場合、売主は責任を負う必要はありません。したがって、売主が知っている瑕疵は正確に買主に伝えることが重要です。

重要な事実を正確に報告することで、トラブル防止や説明義務違反を回避できます。通常、契約不適合責任の期間は個人間売買の場合、契約締結後3ヶ月と設定されることが多いです。

買主と契約するまでの間に物件の状況が変わった場合は、随時報告書をアップデートしましょう。不動産会社と相談しながら、買主に正確な情報が提供できるよう準備します。

②不動産会社が行う様々な販売方法

不動産会社は、物件を効果的に売却するためにさまざまな販売方法を駆使します。ここでは、不動産会社が行う一般的な販売方法について紹介します。

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これらの販売方法を組み合わせることで、購入希望者に最大限アピールすることができます。売却活動をスムーズに進めるためには、不動産会社と連携し、適切な販売方法を選択することが重要です。

例えば、「過度な広告を避け、内密に売りたい」「居住中なので外観がわからないように写真を使いたい」といった要望がある場合もあるでしょう。その際は、不動産会社にプライバシーに配慮した販売方法を提案してもらいましょう。

③見学者を迎える準備と案内時の注意ポイント

物件を内覧に訪れる見学者に良い印象を与えることは、売却成功の鍵となります。見学者が物件を気に入るかどうかは、第一印象が大きく影響します。

特に居住中の状態で売却をする際はご注意ください。

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以上のポイントを押さえて、見学者に良い印象を与えることで、売却活動を成功に導きましょう。

 

これにて第五章「売却活動の開始」は終了します。

第六章「売却活動の進捗報告と戦略の見直し」

売却活動を開始したら、進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて戦略を見直すことが重要です。売却活動が順調に進まない場合は、不動産会社と協力して改善策を講じる必要があります。

この章では、定期的な進捗報告の重要性、確認すべきポイント、戦略の見直しについて詳しく解説します。

①進捗報告で確認すべきポイント

不動産会社からの定期的な進捗報告を受けることで、売却活動がどのように進んでいるかを把握することができます。これにより、売却状況の把握ができ、適切なタイミングで必要な対応を行うことが可能になります。

進捗報告を受ける際に、次のポイントを確認しましょう。

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②戦略の見直しと改善策

売却活動が停滞している場合、戦略の見直しが必要です。不動産会社と相談し、次の改善策を検討しましょう。

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これらの情報をPRに取り入れることで、物件紹介ページの閲覧数が増え、実際に見学に来る人の関心を高めることができます。

③価格の調整と再設定

市場の動向や反響状況に応じて、売出価格の調整が必要になる場合があります。
次の点を考慮しながら、価格の見直しを行いましょう。

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いくら値下げすればよいのか?については、不動産会社の担当者が購入希望者を案内した際に価格の話をしています。購入を見送った理由が価格であれば、「どのくらいの価格なら前向きに検討できるのか?」を聞いているので、その意見を参考にしましょう。

④買主からの値下げ交渉にどう対応するか?

値下げ交渉が入った場合、冷静に対応することが大切です。不動産会社と相談し、相手の希望価格が市場価格と比較して妥当かどうかを判断しましょう。また、交渉の余地があるかどうかを考え、条件に納得できる場合は価格調整を行います。妥協できない場合は、交渉を断る選択も必要です。

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売却活動が長引くと、売主の不安が募ることがあります。売却期限が迫ると、焦りや不安が強まるのは当然です。不動産会社は通常、3ヶ月以内の売却を目指していますが、それ以上かかることもあります。

売却活動中の1ヶ月間で内見申し込みが1件も入らない場合は、すぐに対応策を考える必要があります。しかし、反響がなくても焦らず、信頼できる担当者と相談しながら、適切な対応を取ることが大切です。

売却活動が順調に進む場合もあれば、反響が多くても決まらないことや、1人目の検討者でスムーズに決まることもあります。状況に応じた柔軟な対応が必要です。

たとえ反響が少ない場合でも、一人だけ気に入ってもらえれば売買は成立します。また、たくさん反響があっても決まらないこともあるため、必ずしも多くの反響が必要というわけではありません。

もし不動産会社に対して不満や信頼できないと感じたら、他の不動産会社に相談することも視野に入れましょう。信頼できるパートナーと共に、スムーズな売却を目指してください。

 

これにて第六章「売却活動の進捗報告と戦略の見直し」は終了します。

第七章「購入申し込みの受付」

物件に興味を持った購入希望者から、正式な購入申し込みが入ると、いよいよ売却プロセスも佳境に入ります。この章では、購入申し込みを受け付ける際の流れや注意点について解説します。

①購入申し込みの流れ

購入希望者が物件に興味を持ち、購入を希望する場合、不動産会社を通じて購入申し込みが入ります。

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購入申し込みは、口頭での意思表示ではなく、書面によって行われます。これにより、購入希望者の意思が明確になり、売主も安心して次のステップに進むことができます。

②不動産購入申込書の内容と確認ポイント

購入申込書には統一の書式はありませんが、一般的には次のような内容が記載されています。

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購入申し込み書を受け取ったら、これらの内容をしっかり確認しましょう。特に、購入希望価格や支払い条件については、不動産会社の担当者と相談しながら慎重に検討してください。

③手付金とは?

手付金とは、不動産売買契約の成立を確定させるために、購入者が売主に支払う金銭のことです。手付金を支払うことで、契約が正式に成立したことを証明します。手付金は売買代金の一部として扱われるため、最終的な売買代金から差し引かれます。

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手付金の金額は物件価格の5%から10%が一般的です。例えば、物件価格が5,000万円の場合、手付金は250万円から500万円程度となります。ただし、手付金の金額は売主と購入者の合意によって決まるため、柔軟に対応できる場合もあります。

④購入希望者との交渉

購入申し込みが入ったら、購入希望者との交渉が始まります。次のポイントに注意しながら、交渉を進めましょう。

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購入希望者の意向を尊重しつつ、売主としての希望も伝え、双方が納得できる条件で合意することを目指します。交渉が難航する場合は、不動産会社の担当者の助言を受けながら進めると良いでしょう。

⑤複数の申し込みがあった場合は誰を選ぶべきか?

複数の申し込みが入った場合、どの購入希望者を選ぶかは慎重に検討する必要があります。次のポイントを参考にして、最適な購入希望者を選びましょう。

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複数の購入申し込みが入ると、どの購入希望者を選ぶか迷うこともあるでしょう。価格や支払い条件だけでなく、ローンの利用可否や引渡し時期など、さまざまな要素を総合的に判断することが重要です。

最終的な決定権は売主であるあなたにあります。

内見時の印象や、不動産会社のアドバイスも参考にして、自分にとって最適な購入希望者を選びましょう。

 

これにて第七章「購入申し込みの受付」は終了します。

第八章「売買契約の準備と締結」

購入申込書を受け取り、買主が決まったら、いよいよ契約の準備に入ります。
契約成立に向けて具体的な契約条件のすり合わせをしていきます。

契約締結に向けた準備を万全にし、トラブルなくスムーズに進めるためのポイントを押さえましょう。

①契約条件の確認

売主として、不安を解消し、安心して契約を進められるよう、次のポイントを詳細に確認しましょう。

1.契約金額
契約する金額を確定します。売主と買主の間で最終的な売買価格を合意し、契約書に明記します。適正な価格で売却できるよう、不動産会社のアドバイスを受けながら慎重に決定しましょう。
2.手付金の額
手付金の額を決定します。手付金は契約日に買主から売主に支払われ、契約が正式に成立したことを証明します。一般的には物件価格の5%から10%が手付金とされますが、状況に応じて柔軟に対応することが可能です。
例えば、新居を購入する際の頭金や引越し費用が必要な場合、手付金を一部利用したいこともあるでしょう。そのため、手付金の金額を慎重に決めることが重要です。不動産会社に事情を説明し、適切な金額を決定して買主と交渉しましょう。
3.代金の支払い方法
買主からの代金の受け取り方法を決定します。現金、振込み、預金小切手など、具体的な支払い方法を取り決めることが大切です。一般的には銀行振込で行われ、銀行振込の明細書を領収書の代わりとすることが多いです。
また、固定資産税や都市計画税の分担金、マンションの場合は管理費や修繕積立金の日割り清算分も確認しましょう。
4.引渡日の設定
物件の引渡日を決定します。売主が物件を買主に引き渡す日を明確にし、双方のスケジュールを調整します。引渡し日が近づくと準備が必要になるため、余裕を持った日程設定が重要です。
5.契約不適合責任
土地や建物に欠陥があった場合の責任範囲を明確にします。これは、契約後に物件に問題が発覚した際、売主がどの程度の責任を負うかを決める重要な項目です。不動産会社に相談し、適切な内容で設定することが必要です。
6.付帯設備
設備の有無、故障・不具合の内容を確認し、「付帯設備表」を作成します。これにより、引渡し時にどの設備が含まれるかが明確になります。買主に対する説明をきちんと行い、トラブルを未然に防ぎます。
7.建物の引渡し条件
修復やリフォームの有無を決定し、必要な場合はその内容を明確に契約書に記載します。修繕が必要な場合は見積もりを取って具体的に決めておくと安心です。
8.売却方法
公簿売買(登記簿売買)か実測売買かを決定します。公簿売買の場合は、土地の境界標が不明な場合の対応も決めておきます。不動産会社のアドバイスを参考に、最適な方法を選びましょう。
9.その他の条件
建物状況調査(インスペクション)の実施有無や融資利用の特約を確認します。買主がローンを利用する場合、その条件を取り決めておくことで、ローン審査の結果に影響を受けにくくなります。また、引渡し猶予特約を使いたい場合、その旨の希望を不動産会社に伝え、買主に承諾してもらいましょう。引渡し猶予特約とは、売主が物件を引き渡した後も一定期間(1週間前後が一般的)住み続けられる特約のことです。これにより、売主は次の住まいへの引越し準備などに余裕を持つことができます。
さらに、契約の解除条件についても確認しましょう。例えば、ローン特約(ローンが通らなかった場合の契約解除条件)や手付解除(手付金を放棄することで契約を解除できる条件)などが含まれます。これらの条件を明確にしておくことで、万が一の事態にも対応しやすくなります。
10.懸案事項
私道の権利関係や越境物など、問題がある場合はその対処方法を決めます。これにより、契約後のトラブルを防ぐことができます。事前に問題点を把握し、解決策を講じておくことが重要です。

これらの条件をしっかり確認し、売主と買主が納得の上で契約を締結することが、スムーズな取引の鍵となります。不動産会社の担当者と十分に相談しながら、慎重に進めましょう。

②契約締結の手順

売買契約の締結手順は次の通りです。

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③契約後の手続き

売買契約が締結された後、次の手続きを進めます。
引渡しに向けて、次の点を確認しましょう。

1.ローン手続きの開始
買主が住宅ローンを利用する場合、契約書を基に金融機関と金銭消費貸借契約を結びます。不動産会社を通じて、ローン手続きの進捗状況(本申込の結果)を確認しましょう。
2.物件の引渡し準備
契約書の内容に基づき、引渡し日までに物件の清掃や残置物の処理を行います。必要に応じて、売主が物件の修繕を行い、是正が必要な場合は引渡しまでに完了させましょう。
3.登記手続きの準備
売買契約書に基づいて、司法書士に登記手続きを依頼します。売主と買主は、登記に必要な書類を準備します。

 

これにて第八章「売買契約の準備と締結」は終了します。

第九章「物件の引渡しと残代金の受領」

これまでの章で、不動産売却の基本から購入申し込み、売買契約締結までのプロセスについて詳しく解説してきました。そして、いよいよ売却プロセスの最終段階である「物件の引渡しと売買代金の受領」に進みます。

この章では、物件の引渡しと代金の受領に関する具体的な手続きについて解説します。

①不動産決済とは

不動産決済とは、不動産売買契約に基づき、売主が物件を買主に引き渡し、買主が売主に残りの売買代金を支払う手続きのことを指します。一般的には銀行や不動産会社の事務所で行われます。

決済には売主、買主、不動産会社の担当者、そして司法書士が立ち会います。これは不動産取引の最終段階であり、次のような重要なステップが含まれます。

1.残金の受領
買主は、売主に対して売買代金の残額を支払います。この残額は、既に支払われた手付金を差し引いた金額になります。通常、銀行振込や預金小切手などの方法で支払いが行われます。
2.物件の引渡し
売主は、物件の鍵や関連書類を買主に引き渡します。
3.登記手続き
司法書士が関与して、物件の所有権移転登記を行います。これにより、公的に所有権が買主に移ることが証明されます。
4.諸費用の精算
固定資産税、都市計画税、マンションの場合は管理費、修繕積立金などの費用を日割りで精算し、売主と買主の間で清算します。
5.必要な支払い手続き
不動産決済が完了した後、売主は買主から受け取った残代金をもとに、各所への支払いを行います。
・ローンの一括返済
売主が物件に対してローンを組んでいた場合、残代金を受け取った後、金融機関に対してローンの残額を一括返済します。これにより、物件に設定されていた抵当権が解除されます。
・仲介手数料の支払い
不動産会社に対して仲介手数料を支払います。この手数料は、売却価格に基づいて事前に取り決められた金額となります。
・その他の必要経費
登記費用や司法書士の手数料など、決済に関連するその他の必要経費も支払います。

②決済までに準備すること

不動産決済がスムーズに進むためには、事前の準備が欠かせません。
次のポイントを押さえて、必要な手続きを進めましょう。

1.日時と場所の確認
決済の日程と場所を確認し、関係者全員が出席できるように調整します。一般的には銀行や不動産会社の事務所で行われます。
※立ち会い無しで決済する場合
遠方に住んでいる場合や都合がつかない場合は、買主や売主に代わって手続きを進める代理人を選任し、決済を代行してもらうことが可能です。この場合、代理人に決済の手続きを委譲するために、委任状の準備が必要です。また、残金が確実に支払われたことを確認することが重要です。銀行の振込明細や預金小切手の受領書をもって、着金を確認します。
2.自己資金の準備
売買代金、抵当権抹消の不足金、清算金、諸費用など、必要な自己資金を準備します。これらの資金が不足していないか確認しましょう。
3.必要書類の準備
決済に必要な書類を揃えておきます。不動産会社からの指示に従って準備しましょう。
4.抵当権抹消手続きの確認
物件に抵当権が設定されている場合、その抹消手続きの準備をしておきます。司法書士に依頼して進めることが一般的です。
5.特定事項の是正
売買契約書に記載された物件の特定事項について、引渡し前に是正を完了しておきます。これには、修繕が必要な箇所や契約で定められたその他の条件が含まれます。次のポイントに注意してください。
※修繕の実施
売買契約書で定められた修繕箇所がある場合、引渡し日までに修繕を完了させます。修繕業者と調整し、工事の進捗を確認しておきましょう。
※特定条件の確認
例えば、物件に付帯する設備の状態や境界の明示など、契約で取り決めた特定の条件がある場合、その確認と是正を行います。不動産会社と連携して、引渡し時に問題が発生しないように準備を進めてください。

これらの準備を事前にしっかりと行うことで、決済当日のトラブルを防ぎ、スムーズな引渡しを実現できます。

③決済時に準備するもの

一般的に必要になるものを紹介します。

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以上の書類を準備して、不動産決済に臨みます。不動産会社の担当者が事前に必要な書類をリストアップしてくれるので、準備を進める際は確認を怠らないようにしましょう。

④その他の手続き

不動産決済の最終段階では、物件の引渡しに伴う様々な手続きを進める必要があります。ここでは、決済前に売主が行うべき主な手続きを紹介します。

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これらの手続きをしっかりと行うことで、スムーズな引渡しと新生活のスタートが可能になります。

 

これにて第九章「物件の引渡しと残代金の受領」の解説を終了します。

売却プロセスの各ステップでのポイントを押さえておくことで、トラブルを未然に防ぎ、安心して売却活動を進めることができます。

これまでの章で説明した内容を参考にしながら、スムーズな売却を目指してください。

それでは最後に、不動産売却の税金や各種控除についての説明に入ります。

第十章「売却後の税務手続きと各種控除」

いよいよ最後の章となる第十章では、不動産売却後に必要な税務手続きや利用できる控除について基本的な内容を紹介します。

実際の税務手続きや控除に関する詳細な情報や個別の要件については、税理士にご相談ください。

不動産会社からは具体的な税務アドバイスは提供できませんので、不明な点がありましたら国税庁のHPで確認するか、お近くの税務署や税理士にご相談・ご確認をお願いいたします。

①不動産売却で確定申告が必要になるケース

次のようなケースで確定申告が必要となります。

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②譲渡所得の計算方法

不動産の売却によって得られた利益を「譲渡所得」といいます。この譲渡所得には、他の所得とは別に所得税と住民税が課税されます。ただし、譲渡所得がマイナスの場合は、税金がかかりません。

譲渡所得を計算するには、次の計算式を使います。

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それでは次に、計算された譲渡所得から特別控除を差し引いた課税譲渡所得金額について説明します。この課税譲渡所得金額に対して、実際にどれだけの税金がかかるかが決まります。

計算式は次の通りです。

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最終的な税額は次の計算式で求められます。

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譲渡所得に対する税率は他の所得とは分離され、分離課税の税率が適用されます。この税率は、対象となる不動産の用途や所有期間により異なります。

譲渡所得の税率表はこちらになります。

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所有期間によって課税方法が異なるのでご注意ください。

土地建物を譲渡した場合の短期譲渡所得と長期譲渡所得は、譲渡した年の1月1日現在において、所有期間が5年以下か、5年を超えるかにより判断します。

不動産売却時の税金をシミュレーションできるウェブサイトが多数あります。国税庁のHPや表を見てわかりづらい場合は検索するとたくさん出てきますので、利用してみてください。

③売却時に使える代表的な4つの控除

不動産を売る時には税金の負担を軽減できる特例がいくつか用意されています。
特にマイホーム(居住用不動産)の売却では、売却代金が次の住まいの購入や生活資金になるため、有利な控除があります。

売却する際にはどのような控除が利用できるのか、その種類を理解しておくことが大切です。ここでは、代表的な4つの控除について説明します。

3,000万円特別控除

3,000万円特別控除とはマイホームを売却した際、譲渡所得から最大3,000万円を差し引くことができる特例です。この特例は、家の所有期間に関係なく利用できるため、利用しやすいものです。

主な適用要件
・売主自身または家族が住んでいる家やその敷地を売却すること
・家を取り壊して土地だけを売却する場合、他の用途に使っていないこと
・売った年、その前年、および前々年にこの特例を利用していないこと
・売り手と買い手が親子や夫婦などの特別な関係にないこと
・セカンドハウスや賃貸用マンションなどは対象外
・住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
・住宅ローン控除との併用は不可
メリット
・譲渡所得が3,000万円以下の場合、この控除を利用することで譲渡所得を0にでき、税金がかかりません
・共有名義の場合、控除額が2人分(最大6,000万円)適用されます

マイホームの売却で特例の利用を考えている方は、適用要件を事前にしっかりと確認しておきましょう。

特定の居住用財産の買換え特例

自宅を売却し、新しい家に買い換える場合、一定の条件を満たせば、売却で得た利益(譲渡所得)に対する税金を繰り延べることができる特例です。ただし、税金が免除されるわけではなく、あくまで繰り延べされるだけです。次回の売却時に、繰り延べられた分も含めて課税されることになります。

主な適用要件
1.売却する住宅の要件
・売却する物件がマイホームであること
・売却した年の1月1日における所有期間が10年を超えること
・売却代金が1億円以下であること
・居住期間が10年以上であること
2.買い替える住宅の要件
・新しいマイホームの床面積が50㎡以上であること
・土地の面積が500㎡以下であること
・中古マンションの場合、築25年以内であること、または一定の耐震基準を満たしていること
メリット
・繰り延べが適用されると、今回の譲渡所得に対しては税金がかからない
・繰り延べできる金額は新しいマイホームの購入金額によって変わります。新しいマイホームが売却したマイホームよりも高い、または同額の場合は、税金が全額繰り延べされる

一般的には、譲渡所得が3,000万円以下の場合は3,000万円特別控除が有利であり、譲渡所得が3,000万円を超える場合には、特定の居住用財産の買換え特例が有利と言えるでしょう。

なお、買い替え特例は3,000万円特別控除や軽減税率と同時に適用できないのでご注意ください。

10年超所有軽減税率の特例

10年超所有軽減税率の特例とは不動産の所有期間が10年を超えている場合、譲渡所得に対して軽減税率が適用される特例です。この特例により、長期間所有していた不動産の売却に対する税負担を軽減することができます。

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主な適用要件
・売却する不動産が日本国内にあり、売主が住んでいる家屋または家屋とその敷地であること
・マイホームに住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
・売り手と買い手が親子や特別な関係にないこと
併用可能な特例
所有期間による軽減税率は、3,000万円特別控除と併用することができます。このため、適用条件を満たせば、譲渡所得から3,000万円を控除した後に軽減税率を適用することができます。

この特例は他の特別控除や特例と併用できる場合があるため、条件を確認しながら最適な組み合わせを検討することが重要です。

長期間所有していた不動産を売却する際に大きなメリットがあります。適用要件を満たしている場合は、3,000万円特別控除と併用して税負担をさらに軽減しましょう。

譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

マイホームを売却して損失が出た場合、その損失を他の所得と合算(損益通算)して減税することができる特例です。この特例により、マイホームの売却損が他の所得(例えば給与所得)と相殺され、税負担が軽減されます。

例えば、マイホームの売却で100万円の損失が出た場合、年収が600万円の給与所得と合算すると合計所得は500万円となります。これにより、所得税や住民税の負担が軽減されます。

売却時の損失が大きく、その年の他の所得と相殺しきれない場合は、翌年から3年間にわたり繰越控除が可能です。

主な適用要件
・自分が住んでいるマイホームを譲渡すること
・住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
・家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと

この特例は、売却損が出た場合の税負担を大幅に軽減することができるため、積極的に活用しましょう。

以上がマイホームを売却する際に活用できる代表的な控除でした。

各種控除の詳しい適用要件や最新の内容、手続き方法については、税理士に相談するか、国税庁のホームページ等でご確認お願いします。

 

最後に

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ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。

今回は不動産売却の基本的な流れと、各ステップで必要な準備や事前に知っておくべきポイントをまとめました。

初めての不動産売却は、疑問や不安が尽きないものです。このブログが、そんなあなたの不安を少しでも解消し、スムーズな売却活動の手助けとなれば嬉しいです。

不動産売却についてさらに詳しく知りたい方や、具体的なご相談が必要な方は、お気軽にお問い合わせください。

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あなたの不動産売却が成功することを心よりお祈りしています。

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