文京区でこの仕事をしてから早5年。
今では住所の記載がなくても物件概要と現地の写真を見れば場所を特定できる。まぁ同じエリアで5年も仕事してれば誰でも詳しくなりますね^^;
最近、VRやAI関連の不動産業界向けのサービスを提供する会社がよく営業に来るんですが、マンションネタが多いんですよね。
「不動産業界の不透明さにメスを入れる!」と息巻いてIT業界から参入してくる会社は大抵、賃貸かマンション市場を狙います。今、流行りはビッグデータを使って分析するマンションの査定サイトですかね。続々とオープンしてます。要は賃貸とマンション業界(仲介)は参入障壁が低く、業務的に言っても難易度は高くないですからね。
難しいのは「土地」なんですよ。これは一癖も二癖も・・。
売り手側から見るマンションと土地の違い
あなたがマンションを所有していて売却を検討しているとします。
誰もが買った値段より高く売りたい!損はしたくない!と思いますよね。ただ現実はそう甘くなく立地や築年数によっては買った値段より大幅に下がる可能性もある。「いくらで売れるのか?」すごい気になるところですよね。
不動産売却査定サイト
そんな時、便利なのが一括不動産売却査定サイト。いきなり不動産会社に直接問合せするのは抵抗があるから「まずはネットで査定してもらおう!」と考える人も多いでしょう。
不動産会社からの査定結果 | |
A社 | 5,880万円 |
B社 | 5,980万円 |
C社 | 6,080万円 |
詳しくは今回は割愛しますが通常、業者が売却依頼を受けた場合、想定額を提示するのですが根拠を示す必要があります。マンションの場合はその根拠を示しやすいんです。
新築時の価格、施工会社、築年数、近隣のマンション相場、取引事例、階数、方位、間取り、リフォーム有無、共用施設など一定の項目を入れるとだいたい計算できます。
上記の事例で想定額が他社を上回ったとしてもその価格で売れる保証はありません。あくまでも一つの参考値として見る必要があるため鵜呑みにしてはいけません。経年変化の度合いによっても違うし眺望、部屋の設備・グレードによっても異なりますからね。
実際の売出価格は自分で決めるのですが、相場より明らかに高いと当然売れません。
一番いい方法は参考価格を知ってそのエリアで力のある不動産会社にお願いし、実際に部屋を見てもらい意見を聞きながら売却価格を決定するのが一番いいわけです。
次に土地のケースを見てみましょう。
わかりやすく古屋付の20坪の土地を相続し、これを売却したいとします。前面道路は4mありセットバックは必要なし。接道は2m以上で再建築可。現況渡し希望。
古家は築年数が不詳で既存不適格(建蔽率オーバー)なため買い手はこの古家を取り壊して新しく戸建を建築希望です。
周辺相場は1坪あたり約300万で取引されています。
さぁこの土地はいくらで売れるでしょうか?
売却希望価格は6,000万円。
例えば高いのか安いのかでいったらマンションの場合、大抵同じ間取りの部屋の取引事例は残っているので階数や方位が違っても判断しやすい。しかし土地の場合は勝手が違います。事例を見てみましょう。
土地の売却想定額を考える場合、まずどんな建物を建築できるか考えます。
その上で地形・道路・用途地域・防火指定等を考慮して価格を出すのですが・・・。
この他にも色々考慮しなくてはいけない問題があります。
近隣環境、道路環境(車通行可否、一方通行など)、電柱の位置(移設可否)、越境有無、ゴミ置き場、現況測量の依頼。既存建物の解体費用はいくらか?地中埋設物の対処。解体費一つとっても近隣環境(隣地が更地or駐車場で貸し出し可否)によって違うし道路条件によっても見積額が全然変わります。
上記の①~⑥のケースでは当然評価額は変わります。しかもこれはほんの一例。土地の場合それだけ複雑で一つとして同じものはありませんからね。
しかもこれに周辺相場も加わります。得意としてないエリアの不動産会社の営業マンが相場を調べようと思っても、レインズのごくわずかな情報で判断するしかない。そもそもエリアを熟知してないし、情報のストックがないので適正な評価なんてできるわけがないんです。
文京区なら文京区。世田谷区なら世田谷区に強い会社を選ぶべき。
あなたが問い合わせをしようとしている会社はあなたが住みたい街のことをよく知っていますか?時にはあなたが気に行った物件にたいして「これはやめた方がいい!なぜならば・・・」と、理由を説明してくれますか?
物件選びも重要だけど、どこの会社に任せるのかも超重要ですよ。頼りない営業が担当だったらすぐチェンジした方がいい。
不動産会社はどこも同じではありません。賃貸に強いところ、マンションに強いところ、土地・戸建に強いところそれぞれです。そしてそれぞれ得意・不得意のエリアがあります。売却にしても購入にしても大前提はそのエリアに強いというのがポイントです。
ふだん目黒区や品川区を主戦場としている会社の営業マンが、文京区の物件を案内しても知ったかぶりはバレます。特に文京区に住んでる人だったら・・・。にわか知識じゃ信用されないし、お客さんは専門家としてプロの意見が欲しいわけです。
売却査定サイトに一喜一憂しないでくださいね。そして、問い合わせする前に最低限その会社がどこのエリアを得意としているのか確認するようにしましょう。
今、TBSでやってるドラマ「砂の塔〜知りすぎた隣人」が話題で、タワーマンションの高層階と低層階の「フロア格差」を題材にしてますが、同じ不動産会社でもエリアによって「情報格差」がありますよ!これがほんとに大きいんです。
「街の不動産屋」深い経験値と地元ならではの情報力