20代でマイホームを買う人は約1割。
無理のない資金計画で今後のライフプラン等も考慮したうえで最適な物件を見つける！という考え方であれば20代で買うのは‟あり”だと思います。
しかし、不動産購入のリスクについて正しく理解せず頭金も借りられるからと安易な考えで購入することはお勧めできません。
今回は20代で買うメリット・デメリット、失敗する典型的な例を紹介します。
先月から立て続けに20代の方から相談があり、3人のうち2人に「文京区で値上がりしそうな物件を教えてほしい！」と言われたんです。
こんなドストレートに聞かれたことはない。しかも20代に(^^;)
相場が天井に近いことを示す「靴磨きの少年」の話かとちょっと怖くなりましたね。若いうちに買うこと自体は否定はしません。
けど、相談者の話を聞くと・・正しく不動産のリスクを理解してないし、貯金もままならない状態でした。
「不動産価格高騰」のニュースや誰かの影響だろうけど、マイホームは投機目的で買うものではないし、売らざるを得なくなった時、大きな損失を被る可能性があることを知ってほしいです。
ということで、今回はこんなトピックでお届けします。
①買っちゃだめな人
②買っていい人
③住宅購入の適齢期は？
④20代で買うメリット・デメリット
①買っちゃだめな人
「君は買うのはやめた方がいい！」と相談してくれた内の1人にはっきり言いました。
なぜそう答えたのか？理由を紹介します。
Ａ君は20代後半、独身の会社員です。相談された物件がこちら
なぜ金利の高いフラット35を希望するのか？と聞くと都市銀行の事前審査が通らなかったようです。
2021年10月のフラット35の適用金利がこちら
A君はフルローンを希望してるのに計算してた金利は1.3％
融資率が9割超だと金利は1.56％になるけど大丈夫か？と心配になりましたが、ざっと計算しました。
そもそもなぜ購入したいのか？理由を尋ねると
①家賃がもったいない
②テレワークが増えて広い部屋に引っ越したい
③不動産価格はまだ上がると思ってるから
みなさんどう思いますか？
・属性的に信用が足りず都市銀行では借りられない
・現状、貯金がままならない状態なのに収入が上がることを想定して資金計画を立てる
・5年前後で売却を検討
これ、失敗する典型的なパターンですよね。
不動産を買うということは当然リスクを抱えることになります。
物件の値下がり、維持費の上昇、住宅ローンの支払いリスクについてＡ君は認識が甘く心配になったので考え直せとアドバイスしました。
②買っていい人
一方、半年前にこんな相談をくれた方がいます。
30代前半のＢ君。会社員。新婚で夫婦共働き。職住近接を求めて文京区を希望。
私は話を聞いて購入を後押ししました。
なぜか？
この物件どう思いますか？と尋ねてきたのは中古マンションで物件価格が5,180万。築17年。広さが53㎡の2LDKでした。
話を聞くと、ペアローンであればもっと予算を伸ばせたけど単独ローンを希望し、余裕を持った資金計画で5千万前後の2LDKを探してました。
将来的に住み替えを視野に入れてたのはＡ君と同じです。
けど、希望した物件の条件は異なるし、借入条件にも大きな違いが。比較してみましょう。
Ａ君はフラット35でしか借りられず1.3％Ｂ君は都市銀行の住宅ローンで0.5％（変動金利）
物件価格が1,200万も違うのに毎月の支払額の差が約5千円。残債の減るスピードも大きく異なります。
もちろん変動なので金利上昇のリスクがあるし、初期費用もＢ君が選んだ物件の方が高いけど・・
仮に5年後売らなくてはならない事情が発生した時に残債がいくら減っているのか？はとても重要です。
もしこの時、残債を下回る価格じゃないと売れないとしたら大きな損失を被ることになるからです。
どちらが売りやすいか？どちらの方が値下がりしやすいか？
近い将来、売却を視野に入れるならこういった視点でも考える必要があります。
独身だから・・若いからダメ！って言ってるわけじゃないんです。
家が欲しいならB君のように無理のない資金計画を立ててほしいということです。
例えば本来5千万の物件を買える人が、立地も気に入りリノベして4千万で買って長く住むって言うのならA君の話を聞いても反対しなかったでしょう。
③住宅購入の適齢期は？
家を買うタイミングはいつが良いか？
こちらをご覧ください。
国土交通省が公表している令和2年度の住宅市場動向調査
購入者の世帯主を年齢別で見ると20代が占める割合は約1割。
分譲マンションで見ると7.2％
中古マンションだと6.7％だったそうです。
これは日本全国を対象にした調査なので東京23区に絞ったらもっと少なくかもしれません。
30代が多いのは収入も安定してきて、より満足度の高い住宅を求めたくなる。
結婚や出産で一つの場所に住み続ける理由ができる。
家を買うタイミングはいつが良いか？は人それぞれだけど住宅購入の適齢期はよく30代って言われるのはわかりますね。
④20代で買うメリット・デメリット
とはいえ・・
マイホームをすでに購入してる人に聞けば「もっと早く買っておけばよかった！」と答える人が多いでしょう。
この2～3年の不動産価格高騰を見ればなおさらですよね。
ということで、最後にネットで検索するとよく出てくる20代で買う「メリット・デメリット」を一緒に見てみましょう。
まずメリットですが、早く買えば家賃分を支払いに充てられるのが大きい。60歳までに完済する計画を立てるなら、年齢は若い方がいいですよね。60歳以降、ローンを残すのは不安です。
次にデメリットですが、家族構成や収入面によって住まいに求める価値観は必ず変わります。30を前に転職を考える人もいるでしょう。その変化に対応する際、家を買ったことが足かせになる可能性があります。
なので、「貸しやすい」「売りやすい」物件を選びたい。
そして、民間金融機関の住宅ローンの審査が通るまでは信用を高めて欲しいなとは思います。
今回は過熱相場の影響のせいか時期尚早と思える方から相談が来たので、否定するような内容になりましたが・・
無理のない資金計画で今後のライフプラン等も考慮したうえで最適な物件を見つける！という考え方であれば20代で購入するのは良いと思います。
以上となります。最後までご覧いただきありがとうございます。
